日本公衆衛生雑誌
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原著
地域在住高齢者における社会的活動への参加と体力との関連
生内 由佳本田 貴紀陳 涛楢﨑 兼司陳 三妹熊谷 秋三
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2016 年 63 巻 12 号 p. 727-737

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抄録

目的 本研究の目的は,地域在住高齢者における社会的活動への参加と,総合的な体力,および体力測定の各項目との関連を明らかにすることである。

方法 本研究は2011年から追跡中の縦断研究である篠栗元気もん研究のベースラインデータを用いた横断研究である。福岡県糟屋郡篠栗町在住で65歳以上の要介護認定を受けていない全高齢者4,913人のうち,すべてのデータが得られた1,365人を解析対象とした。社会的活動への参加は,質問紙により 8 項目の活動について参加の有無の回答を得た。体力測定では,筋力として握力と脚伸展力,下肢の動作実行能力として開眼片足立ち時間と 5 m 最大歩行速度,および 5 回椅子立ち上がり速度を計測した。性,年齢,BMI,社会経済的要因,同居家族の有無,運動習慣,飲酒・喫煙習慣,客観的測定による中高強度活動,低認知機能,手段的日常生活機能低下,ディストレス,ソーシャルネットワーク,および既往歴を調整変数とし,重回帰分析と多重ロジスティック回帰分析を用いて,社会的活動への参加の有無と体力との関連性を検討した。

結果 本研究の対象者において,8 項目の社会的活動のうち何らかの活動に 1 つでも参加する者の割合は83.6%であった。多変量解析から,社会的活動への参加と体力の総合評価得点,5 m 歩行速度,椅子立ち上がり速度,および開眼片足立ちとの間に有意な関連性が認められた(それぞれ P=0.008,P=0.030,P=0.034,P=0.009)。

結論 社会的活動への参加は社会経済的要因や既往歴と独立して,総合的な体力および下肢の動作実行能力と関連した。

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© 2016 日本公衆衛生学会
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