2016 年 57 巻 5 号 p. 525-530
特発性再生不良性貧血(AA)は汎血球減少と骨髄の低形成を特徴とする症候群である。T細胞特異的な免疫抑制療法が奏効することから,AAの主な発症機序はT細胞による造血幹細胞の傷害と考えられている。しかし,特定のHLAアレル(HLA-DRB1*1501)の高保有率や発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)形質の血球の増加等の免疫学的病態マーカーがこれまでに報告されてはいるものの,本質的な病態の解明は遅れている。本稿では,これまでに得られてきたAAの免疫病態と,それを反映するマーカーについて述べる。