臨床血液
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特集:臨床血液学 ―最新情報と今後の展望2017(リンパ系疾患)―
急性リンパ芽球性白血病—病態解明の進歩と治療の現在—
今井 陽俊
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2017 年 58 巻 5 号 p. 460-470

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抄録

ALLの発症は2歳から5歳までがピークで50歳以降ではまた増加傾向を示す。ほとんどの小児では治癒が可能であるが,成人では依然として予後不良である。近年新たに遺伝子変異が同定されて病態の解明が進んでいる。WHO分類は2016年に改訂されProvisional entityとして新たな疾患が提唱されている。病態の解明の進歩とともに治療法の開発が期待される。ALLの治療法は複雑な多剤併用化学療法から成り立っている。治療法には大きく2つの流れがある。1つはBFM骨格による治療法で,寛解導入療法,地固め・強化療法,中枢神経白血病の予防,維持療法からなり欧州を中心として行われている。もう1つはM.D. アンダーソンがんセンターが中心となって行われているHyper-CVAD療法である。さらに高齢者ALLに対する治療法を確立する必要性に迫られている。高齢者のALLのさらなる治療成績の向上を目指すためには,新規の分子標的薬,免疫調整薬の開発および骨髄非破壊的同種移植療法の確立が期待される。

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© 2017 一般社団法人 日本血液学会
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