Progress of Digestive Endoscopy
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臨床研究
傍十二指腸憩室とERCPおよび関連手技との関係
岩田 朋之吉田 仁佐藤 悦基野本 朋宏山﨑 貴久湯川 明浩本間 直北村 勝哉池上 覚俊井廻 道夫
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2010 年 76 巻 2 号 p. 35-39

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抄録

【背景】傍十二指腸乳頭憩室(傍乳頭憩室;以下,JPDD)はERCPの際,手技が困難になることや偶発症が生じ易いとされている。当院でのERCP症例におけるJPDDの頻度と偶発症について検討した。【方法】当院にて2007年1月から2009年6月まで施行したERCPおよび関連手技863回中,当院初回かつ術者を5年以上の経験者に限定すると246例が対象となり,傍乳頭憩室症例における関連手技を中心に検討した。データはすべて中央値で表記した。【成績】246例中,JPDD(+)69例(28%),JPDD(-)177例(72%)となった。対象年齢は72歳,男女比は147:99,JPDD(+)はJPDD(-)より高齢で性差はなかった。手技に関しては,JPDD(+)はEST(+)37例(53.6%),EPBD(+)6例(8.9%),JPDD(-)はEST(+)79例(44.6%),EPBD(+)4例(22.5%)であった。内視鏡の挿入から抜去までの時間は,JPDD(+),JPDD(-)ともに35分と有意差を認めなかった。疾患内訳では総胆管結石が52.9%vs. 32.3%とJPDD(+)に多かった。偶発症は,膵炎16例中JPDD(+)5例,JPDD(-)11例,出血6例中JPDD(+)2例,JPDD(-)4例,穿孔0例で有意差を認めず,ERCPおよび関連手技に伴う偶発症は,傍乳頭憩室の影響を受けなかった。【結論】傍乳頭憩室は,高齢者に多いが性差はなく,総胆管結石の頻度が高いことが示唆され,ERCPおよび関連手技時間や偶発症の発生頻度には影響しないと推定される。

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© 2010 一般社団法人 日本消化器内視鏡学会 関東支部
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