日本薬理学雑誌
Online ISSN : 1347-8397
Print ISSN : 0015-5691
ISSN-L : 0015-5691
黄連解毒湯と三黄瀉心湯のラットの胃粘膜保護作用の発現機序
末永 敏彰白川 敏夫原田 修江峠 千衣山崎 正志小松 弘尚松本 能里木田 実川本 雄二村上 祥子中村 万寿夫三重野 寛井上 正規梶山 梧朗
著者情報
ジャーナル フリー

1991 年 98 巻 4 号 p. 319-325

詳細
抄録

黄連解毒湯と三黄瀉心湯の胃粘膜保護作用の発現機序を,taurocholate処置後,酸性試験液の胃内留置により起こるラットの胃粘膜障害モデルを用いて検討した.これらの薬剤は用量依存性に胃粘膜障害を抑制し,この酸性試験液の胃内留置の間に起こる水素イオンおよびナトリウムイオン流量の増大を用量依存性に抑制した.三黄瀉心湯は胃粘膜により,14Cでラベルされたarachidonateから合成される各種prostaglandinの総量を有意に増加させた.以上の成績より,黄連解毒湯と三黄瀉心湯は胃粘膜関門を強化することにより胃粘膜保護作用を発揮することが示唆された.さらに三黄瀉心湯のこの作用は胃粘膜のprostaglandin合成能増加に基づくと推定された.

著者関連情報
© 社団法人 日本薬理学会
前の記事
feedback
Top