2008 年 23 巻 2 号 p. 203-208
廃用性萎縮筋における毛細血管,及び血管増殖因子の変化をラット後肢懸垂モデルで検証した。2週間の後肢懸垂後のヒラメ筋は,正常筋に比較して,筋湿重量は61%,筋線維横断面積は47%に減少し,廃用性萎縮を示した。毛細血管・筋線維比も,廃用性萎縮筋では23%の減少を示した。骨格筋細胞における酸化的リン酸化反応を示すコハク酸脱水素酵素活性は,廃用性萎縮筋で低下し,骨格筋細胞の代謝活性が低下していることを示唆した。また,低酸素で誘導されるHIF1- αmRNAは廃用性萎縮筋では変化せず,血管増殖因子VEGF mRNAやVEGFタンパク質は有意に低下を示した。これらの結果から,廃用に伴う不活動は骨格筋細胞の酸化系酵素活性を低下させると共に,毛細血管の退行的なリモデリングを発生させ,血管増殖因子の減少が関与することを明確にした。