日本内科学会雑誌
Online ISSN : 1883-2083
Print ISSN : 0021-5384
ISSN-L : 0021-5384
尋常性乾癬にネフローゼ症候群を合併し,組織学的に膜性腎症とIgA腎症が同時に存在した1例
谷 吉雄山本 哲郎島崎 圭一河合 昂三西出 啓二郎安部 俊男
著者情報
ジャーナル フリー

1988 年 77 巻 7 号 p. 1081-1084

詳細
抄録

尋常性乾癬経過中に,その臨床経過と密接に関連したネフローゼ症候群を合併した1例を報告する.症例は浮腫と皮疹を主訴とした64才男性.ネフローゼ症候群ならびに尋常性乾癬との診断にて入院.腎生検にて膜性腎症とIgA腎症が同時に存在する極めて特異な所見が得られた.患者のネフローゼ状態は乾癬治療およびステロイド薬投与により,約半年後には不完全寛解I型となった.本例の糸球体病変が乾癬と直接関連したものと断定はできないが,両者の臨床経過に関連性がみられ,かついずれの疾患もその発症に免疫機序の関与が考えられていることより,両者の密接な関係が推測され,糸球体腎炎の発症機序を考えるうえでも示唆に富む症例と思われた.

著者関連情報
© (社)日本内科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top