多発性骨髄腫と悪性中皮腫の重複例は,過去23年間に報告が無い.症例. 79才,男性.全身倦怠感・足背浮腫を主訴として来院.入院後血清IgGが異常高値でM成分(IgGκ)が認められたこと,および胸骨穿刺による骨髄細胞・組織診で異型形質細胞の腫瘍性増生が認められたことより多発性骨髄腫と診断.化学療法経過中に腹水と〓上部の腫瘤を認め,腹部CTで腹膜原発の浸潤性腫瘤が示唆され,腹水細胞診でClass V,悪性中皮腫が強く疑われた.患者は加療1年後に心不全で死亡.剖検の結果,腹腔腫瘤は上皮腫型の悪性中皮腫であることが組織学・組織化学・免疫組織化学的に確認された.