日本臨床免疫学会会誌
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第42回総会ポスター賞受賞記念論文
制御性T細胞による全身性エリテマトーデスの病態制御
岡村 僚久森田 薫藤尾 圭志山本 一彦
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2015 年 38 巻 1 号 p. 69-77

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抄録

  自己抗体は様々な自己免疫性疾患と関連する.全身性エリテマトーデス(systemic lupus erythematosus: SLE)は自己抗体産生を特徴とする代表的自己免疫性疾患であり,遺伝要因と環境要因がその発症機序に重要であると考えられているが,その詳細な発症機序は不明である.CD4陽性CD25陽性 制御性T細胞(regulatory T cell: Treg)および,そのマスター制御因子として機能するFoxp3遺伝子の同定により,各種自己免疫性疾患の病態解明に関する研究は著しく進展している.CD4陽性CD25陽性 Tregは胸腺で誘導される内因性Treg(naturally-occurring Treg: nTreg)を主体とするが,その他のTregサブセットとして末梢で誘導される誘導性Treg(induced Treg: iTreg)であるType 1 regulatory T(Tr1)細胞などが知られている.免疫学的恒常性はnTregとiTregが協調することで保たれている.近年,抗体産生抑制能を有するTregサブセットに関する報告が蓄積されてきている.本稿ではSLEにおける各種Tregの役割につき,当研究室で得られた最新の知見も交えて概説する.

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© 2015 日本臨床免疫学会
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