2005 年 25 巻 4 号 p. 331-337
ボランティア60名を対象とし, 超音波診断装置を用いて左右内頸静脈の皮膚からの距離, 径, 総頸動脈との位置関係を (1)仰臥位, (2)トレンデレンブルグ位, (3)トレンデレンブルグ位で息こらえの3条件で検討した. 皮膚からの距離は各条件で有意差はなかったが, 左の方が深かった. 静脈径は (3)のときに最大になり, 同条件下では左内頸静脈の方が有意に細かった. 総頸動脈との位置関係は, 1) 部分的に重なる場合, 2) まったく重ならない場合, 3) 完全に重なる場合の3パターンがみられ, 左右とも1) のパターンが多く, 左は3) のパターンも, 右に比較すると多かった. 左内頸静脈は, どの条件下でも右内頸静脈と比べ皮膚からの距離が長く, 径は細く穿刺時は動脈誤穿刺などの合併症に注意すべきである.