日本臨床麻酔学会誌
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症例報告
抗血小板薬の継続が周術期ステント血栓症を回避させる可能性を示唆した1症例
加藤 果林新庄 泰孝吉川 慶三米井 昭智
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2011 年 31 巻 7 号 p. 986-989

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抄録

  2年前に薬物溶出性ステント(drug-eluting stent:DES)を留置された患者に対し,胃切除術前に抗血小板療法を中止しヘパリン療法を行ったが,手術直後にステント血栓症による心室細動を発症した.その1年後に同一患者が,抗血小板薬の内服を継続したまま緊急開腹術を受けたが,周術期に心イベントを発症することはなかった.DES留置患者は抗血小板薬中止と手術侵襲によって遅発性ステント血栓症のリスクが高まるといわれている.DES留置患者では抗血小板薬中止について検討が必要である.

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© 2011 日本臨床麻酔学会
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