西日本皮膚科
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治療
アトピー性皮膚炎に対する合成疑似セラミド含有クリームの有用性の検討
—尿素含有クリームとの比較—
秦 まき戸倉 新樹瀧川 雅浩田村 辰仙芋川 玄爾
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2002 年 64 巻 5 号 p. 606-611

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抄録

アトピー性皮膚炎患者にみられる乾燥皮膚及びバリアー機能損傷の一因として角層細胞間脂質,特にセラミドの減少が示唆されている。したがって天然セラミド2の類縁体を含有した,8%合成疑似セラミド含有クリーム塗布によるセラミド欠乏状態の改善が,乾燥肌状態の改善に結びつくことが期待される。我々はアトピー性皮膚炎患者の前腕部屈側に本クリームを外用し,その臨床症状と水分保持能,経皮水分喪失量(transepidermal water loss:TEWL)が改善するかどうかを尿素含有クリームと比較検討した。調査対象はアトピー性皮膚炎患者20例(平均年齢26.4歳)で,皮膚所見において60%で有用性を認めた。TEWLについては外用前値と有意差を認めなかったが,角層内水分量(コンダクタンス)は外用前値と比較し,有意に増加した。尿素含有クリームとの比較ではTEWLとコンダクタンスともに有意差を認めなかった。しかし,皮膚所見及び使用感を含む有用性においては合成疑似セラミド含有クリームが有意に優れていた。以上より8%合成疑似セラミド含有クリームは,アトピー性皮膚炎の乾燥皮膚に対し有用性の高い外用剤と考えられた。

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© 2002 日本皮膚科学会西部支部
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