2007 年 58 巻 5 号 p. 472-477
上気道閉塞性病変に対して,気管切開術は基本的な手技であり,耳鼻咽喉科医にとって非常に重要な手術手技の1つである。今回,われわれはCiaglia法の一種である,Blue Rhino法(NEO PERC®:タイコ ヘルスケア社)を用いた,経皮的気管切開術による気道確保を行った4症例について報告し,当科での外科的気管切開術と経皮的気管切開術との比較検討を行った。外科的気管切開術を施行した症例は19例であり,経皮的気管切開術を施行した症例は4例であった。外科的気管切開術と比較して経皮的気管切開術では明らかに,手術時間の短縮を認め,術後出血や皮下気腫,創部感染といった術後合併症を認めなかった。気管切開部の創処置においても,外科的気管切開術では全例において,気管孔閉鎖術が必要であった。しかし,経皮的気管切開術では半数の2例であり,気管孔閉鎖術の有無にかかわらず,切開創痕はどちらも相違はなく目立たなかった。気管切開手技に精通している耳鼻咽喉科医において,本方法は気管切開術の有用な1つの手技として考慮しうるものと考えられた。