日本血栓止血学会誌
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原 著
過去に治療歴のある血友病A患者に対する遺伝子組換え型血液凝固第VIII因子製剤(リコネイト)の市販後の多施設臨床評価(使用成績調査)
福武 勝幸新井 盛大稲葉 浩花房 秀次三間屋 純一高松 純樹吉岡 章嶋 緑倫白幡 聡藤巻 道男リコネイト(PTPs) 研究会
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2005 年 16 巻 6 号 p. 650-663

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抄録

過去に第VIII因子製剤による治療歴のある血友病A患者(PTPs)を対象とした多施設共同の市販後使用成績調査を実施し,遺伝子組換え型第VIII因子(rFVIII)製剤リコネイトの日常使用実態下における長期(2年間)の有効性および安全性を前方視的に検討した.134例が症例登録され,129例を有効性および安全性の解析対象とした.本剤の止血効果は総出血エピソード数4,171出血に対し,著効1,769出血,有効2,031出血で,有効以上の有効率は91.1%であった.非出血時投与の頻度が週1回以上で定期補充療法例と考えられた重症例21症例の出血頻度は出血時治療例32例に比し,有意に低いものであった.副作用は3例(2.3%)に認められ,内訳は頭痛,蕁麻疹および抗rFVIII抗体(IgM)産生が各1例であった.頭痛および蕁麻疹は軽度で一過性で早期に回復し,抗rFVIII抗体(IgM)産生症例では抗体産生に伴う臨床症状はなかった.なお,本調査期間中,新規に第VIII因子インヒビター(Bethesda法)が発生した症例はなかった.以上より,リコネイトはわが国におけるPTPsでの長期の使用において安全で有効な製剤であると考えられた.

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© 2005 日本血栓止血学会
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