肝臓
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経鼻持続陽圧気道圧法の併用により胸膜癒着術が奏効した難治性肝性胸水の1例
松田 充橘 良哉荻野 英朗里村 吉威鵜浦 雅志
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1998 年 39 巻 12 号 p. 914-918

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抄録

症例は66歳, 女性. 平成8年4月, 右胸水の精査目的に初回入院. B型肝硬変による肝性胸水と診断, 利尿剤投与にて軽快した. その後, 胸水はコントロールされていたが, 平成9年11月より胸水の増量と呼吸困難の増悪があり平成10年2月に再入院. 入院後, 利尿剤, アルブミン製剤の投与を行うも胸水は難治性であった. そこでOK-432, 塩酸ミノサイクリンによる胸膜癒着術を繰り返し行ったが無効であり, その理由として腹腔より流入する腹水による癒着剤の希釈が考えられた. そこで胸腔・腹腔間の圧較差を減らし, 腹水流入を防ぐ目的で経鼻持続陽圧気道圧法を併用し胸膜癒着術を行ったところ効果がみられ, 胸水は改善した. 肝性胸水に対する胸膜癒着術は癒着剤の希釈のため無効の場合が多いとされるが, 近年, 睡眠時無呼吸症候群の治療に応用されている経鼻持続陽圧気道圧法の併用によりその奏効率が高まると思われた.

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© 社団法人 日本肝臓学会
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