肝臓
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症例報告
経過観察中に肝嚢胞腺癌を疑わせる出血性病変がみられた多発性肝嚢胞の1例
石川 祐子岡 博子堀井 勝彦中通 由美横田 重樹大内田 祐一嶋 三恵子中井 隆志川崎 靖子西澤 輝彦山崎 修裴 英洙井上 健
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2007 年 48 巻 11 号 p. 546-552

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抄録

症例は49才女性.右背部痛にて当院受診し,腹部超音波,単純CTにて,多発する肝嚢胞を認め,そのうち肝前上区域(S8)の嚢胞内に充実性部分が見られたが,造影効果なく,出血を伴った肝嚢胞と診断され経過観察となった.4カ月後に変化を認めなかったが,10カ月後に嚢胞径ならびに充実性部分の増大と内部性状の変化がみられた.各種造影検査で充実性部分に造影効果を認めたため,肝嚢胞腺癌を疑い肝前区域切除を施行した.組織学的に充実性部分は内部出血を伴った凝血塊と壊死組織で,血管腫様の不規則に拡張した血管腔の増生を伴っていた.

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© 2007 一般社団法人 日本肝臓学会
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