症例は37歳の男性,心窩部痛と腹部腫瘤触知を主訴に前医を受診し,CTにて門脈内腫瘍栓(Vp4)を伴う高度進行肝細胞癌と診断された.当科入院後,直ちに肝動脈注入化学療法(FP療法:1クール,IFN併用5FU療法:1クール)を開始したが,治療後のCTにて主病巣と腫瘍栓は増大傾向であったため,肝動脈注入化学療法は中止し,ソラフェニブを導入した.ソラフェニブ導入10日目に腫瘍崩壊症候群による腎不全を認め,ソラフェニブを中止するとともに,緊急血液透析を施行した.13日目に多形紅斑の出現も認めたが,その後腎不全と多形紅斑は徐々に改善した.28日目のCTでは主病巣の広範な壊死所見を認め,ソラフェニブによる抗腫瘍効果と考えられた.31日目に減感作療法を開始し,ソラフェニブを再開した.再開後は腫瘍崩壊症候群,多形紅斑を再燃することなく,ソラフェニブ継続中である.