肝臓
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症例報告
ソラフェニブによる腫瘍崩壊症候群及び多形紅斑を来したものの減感作療法により安全に再開継続できた高度進行肝細胞癌の1例
西田 久史波多野 悦朗冨山 浩司瀬尾 智田浦 康二朗藤本 康弘水本 雅己上本 伸二
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2014 年 55 巻 4 号 p. 221-227

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抄録

症例は37歳の男性,心窩部痛と腹部腫瘤触知を主訴に前医を受診し,CTにて門脈内腫瘍栓(Vp4)を伴う高度進行肝細胞癌と診断された.当科入院後,直ちに肝動脈注入化学療法(FP療法:1クール,IFN併用5FU療法:1クール)を開始したが,治療後のCTにて主病巣と腫瘍栓は増大傾向であったため,肝動脈注入化学療法は中止し,ソラフェニブを導入した.ソラフェニブ導入10日目に腫瘍崩壊症候群による腎不全を認め,ソラフェニブを中止するとともに,緊急血液透析を施行した.13日目に多形紅斑の出現も認めたが,その後腎不全と多形紅斑は徐々に改善した.28日目のCTでは主病巣の広範な壊死所見を認め,ソラフェニブによる抗腫瘍効果と考えられた.31日目に減感作療法を開始し,ソラフェニブを再開した.再開後は腫瘍崩壊症候群,多形紅斑を再燃することなく,ソラフェニブ継続中である.

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© 2014 一般社団法人 日本肝臓学会
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