肝臓
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症例報告
Sustained Virological Response(SVR)10年後のC型肝炎に肝細胞癌と胸腺腫の肝転移が合併した1例
木村 有志辻 邦彦松居 剛志田中 一成姜 貞憲吉野 裕紀児玉 芳尚桜井 康雄真口 宏介中島 収
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2016 年 57 巻 5 号 p. 252-259

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抄録

症例は70歳代の女性.C型肝炎に対するSVR10年後に腹部超音波検査で肝腫瘍が指摘された.CT,MRIでS2に径28 mmの多血性腫瘍と,S2,S3,S8に径10 mmの多血性と乏血性腫瘍が認められた.全身検索にて前縦隔に径48 mm大の腫瘍を認め胸腺腫が疑われたため,多発肝転移を疑い肝S2の病変に対して狙撃生検を施行した.その後,前縦隔腫瘍に対し縦隔腫瘍切除術を施行し,病理組織学的に胸腺腫と確定診断し,肝病変の生検組織も同様の所見であったため胸腺腫の肝転移と診断した.術後,化学療法が有害事象で中止となった時点で,新規肝病変の出現を認めなかったため肝外側区切除とS8部分切除術を施行した.S2の病変は胸腺種の肝転移,S2,S3,S8の3病変は肝細胞癌と最終診断された.SVR10年後に肝細胞癌と胸腺腫の肝転移が合併した稀な症例と考えられた.

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© 2016 一般社団法人 日本肝臓学会
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