膵臓
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特集:膵機能維持と長期生存の両立をめざした膵がん治療
長期生存例からみた膵癌手術症例の生理学的機能の評価
鈴木 修司森下 慶一梶 理史小池 伸定原田 信比古鈴木 衛今泉 俊秀
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キーワード: 膵癌, 長期予後, 膵機能, 糖尿病, BMI
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2012 年 27 巻 5 号 p. 686-690

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抄録

(目的)長期生存例からみた膵癌手術後の膵機能を検討した.(方法)対象は2010年までに根治手術を施行した膵癌手術100例のうち術後5年生存をした13例で生理的機能について検討した.(成績)膵癌術後5年生存率は20%であった.腫瘍局在は膵頭部9例,膵体尾部4例で,術式はPPPD 8例,PD 1例,DP 4例であった.PPPD 2例とDP 1例は術後経過中に残膵全摘を施行した.術前糖尿病なし11例,インシュリン使用2例あったが,術後経過中にSU剤内服3例認め,23.1%に糖尿病発症を認めた.BMIは術後3年以上経過で有意に低下した.TP,Hbは術後1,3,5年で有意差は認めず,Albは術後5年で低下し,有意差を認めた.残膵全摘例を除いた検討では有意差を認めなかった.(結論)膵癌手術は長期予後のため膵機能温存を考慮するとともに早期術後補助化学療法を導入することが重要である.

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© 2012 日本膵臓学会
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