2012 年 27 巻 6 号 p. 747-754
症例は52歳.男性.ドック検診の腹部USで膵体部腫瘤を指摘され,当院紹介となった.腹部CTでは膵体部に動脈相で造影効果が不良で,門脈相にて強い造影効果を示す径2.5cm大の境界不明瞭な腫瘤を認めた.MRIではT2強調像とDiffusionで高信号を示し,FDG-PET/CTではSUVmax(the maximum standardized uptake value)=9.7と著明な集積亢進を認めた.以上より悪性度の高い膵体部癌と診断し,膵体尾部切除術を施行した.病理組織学的検査ではductal cell carcinomaとneuroendocrine carcinoma(NEC)が混在するMixed adeno-neuroendocrine carcinomaと診断した.膵併存腫瘍の本邦報告例は少なく,病体や予後についても確立していない.今回,文献的考察を加えて報告する.