北関東医学
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腫瘍性病変が疑われた顎下腺結核の一例
櫻井 努長井 今日子古屋 信彦
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1999 年 49 巻 3 号 p. 177-180

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抄録

症例は48歳, 女性.左顎下部腫脹を主訴に来院.当初, 顎下腺膿瘍として入院の上, 抗生剤等の点滴治療を行った.一時軽快し退院となったが, 再度腫脹が出現し, CT施行したところ顎下腺腫瘍が疑われた.再度入院し, 悪性腫瘍に準じて手術を行った.その摘出標本の病理組織から顎下腺結核との診断を得た.その後, 抗結核剤のイソニアジド (INH), リファンピシン (RFP), エタンブトール (EB) の三者併用療法を施行した.排菌はなかったため外来で経過観察中であるが再発もなく経過良好である.耳鼻咽喉科領域でも結核性病変は時折遭遇することがあるが, 非定型的な病像を呈するため診断に苦慮することがある.今回の症例も腫瘍を思わせる病像を呈したため, 結核と診断するまでに時間を要した.初めから結核を念頭に置きツベルクリン反応などを施行していれば早期診断につながったと思われた.

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