1996 年 10 巻 4 号 p. 504-509
軟部組織肉腫である脂肪肉腫は啓部, 下肢, 後腹膜に発生することが多いが, 縦隔発生は稀である.今回我々は, 原発性縦隔脂肪肉腫の1例を経験したので文献的考察を加えて報告する.
症例は58歳の男性.胸部異常陰影を指摘され当科を受診した.画像所見より縦隔脂肪肉腫を疑い手術を施行した.腫瘤は被膜を有し表面平滑で弾性軌大きさは15.5×12.2×5.0cm, 重さは385gであった.病理組織像よりMyxoid typeの脂肪肉腫と診断した.補助療法は施行せず, 現在術後1年であるが再発無く生存中である.