日本呼吸器外科学会雑誌
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胸骨吊り上げ法を用いた縦隔鏡併用拡大胸腺摘出術の経験
伊藤 重彦田川 努井手 誠一郎佐野 功田中 賢治大江 久圀
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1997 年 11 巻 2 号 p. 181-185

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抄録

胸腺腫を伴わない重症筋無力症に対して, 胸骨吊り上げ法による縦隔鏡併用拡大胸腺摘出術を施行したので手技を中心に報告した.
症例は42歳, 女性で, Osserman 分類 II B型重症筋無力症である.手術はまず頸部襟状切開にて甲状腺下極から上縦隔に至る胸腺組織を剥離, 次いで胸骨全体を縦軸方向にテープで挙上した後, 縦隔鏡下に前縦隔脂肪組織を含め胸腺を摘出した.
手術時間5時間50分, 出血量200cc, 摘出胸腺重量42gであった.胸骨吊り上げや縦隔操作に伴う術後癖痛はほとんどなかった.本術式は, 胸骨正中切開アプローチと同等の拡大胸腺摘出術が可能である.また胸腔鏡下手術と比較し, 胸膜癒着症例, 片肺換気不能な低肺機能症例にも安全に施行できる術式と思われる.

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