日本呼吸器外科学会雑誌
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原著
難治性気胸に対する治療戦略
—気管支充填術と50cmH2O陰圧下に行う胸膜癒着療法の併用—
本間 崇浩新納 英樹宮澤 秀樹能登 啓文
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2009 年 23 巻 2 号 p. 114-119

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抄録

2002年から2006年までに当院に入院し保存的治療法を行った難治性気胸45例(47側)について検討した.治療方針は胸腔ドレーン挿入後の気漏程度と肺の再膨張に基づき,ドレナージ単独,胸膜癒着療法,気管支充填術併用のいずれかに決定した.気管支充填術はシリコン性気管支充填材を用い,胸膜癒着療法は50cmH2O陰圧下で積極的に癒着を図った.胸膜癒着療法群1例,非治療関連の在院死3例を除いて,初回に選択した治療で気漏が停止し退院となった.平均入院期間はドレナージ単独群8.4日,胸膜癒着療法群23.5日,気管支充填術併用群25.5日で,手術を施行せずに初回治療で確実かつ早期の気漏停止が可能であった.気管支充填術併用群では再発を認めず(観察期間23~81ヵ月),当院の治療戦略は安全性が高く,再発が少ない点で有効な治療方法と考える.

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