日本老年医学会雑誌
Print ISSN : 0300-9173
Short Form 36 Health Survey (SF-36) 面接用バージョンの妥当性, および施設入所老人と一般在宅老人との比較を中心とした高齢者 Health-Related Quality of Life 測定の試み
尾藤 誠司福原 俊一
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1998 年 35 巻 6 号 p. 458-463

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抄録

一般的健康関連クォリティ・オブ・ライフ (HRQOL) の代表的な測定尺度であるMOS Short Form 36 scale (SF-36) の有用性は世界でも広く認められており, 最近日本語版も開発されたところであるが, 質問紙への自己記入は, 高齢者や病気の重い患者には難しい. 我々は, 高齢者施設入居中の老人に対し,SF-36の面接インタビュー法による調査を実施し, 病弱高齢者におけるSF-36の信頼性, 妥当性の検証を試みた. また, 一般高齢者とのSF-36値の比較を行うことによって, 施設入居とHRQOLとの関連性を考察した. 新潟県佐渡島の高齢者施設に住む65歳以上の老人117名と, 同島真野町の一般老人から無作為抽出した62名に対しSF-36の調査を行った. 施設入所高齢者群において, SF-36の値はシーリング効果, フロア効果ともにその有用性を満たすものであった. また, VITALスコア以外の部分因子スコアにおいて, 内的整合性信頼性, 同時性妥当性, 構成概念妥当性などに対し十分な有用性を持つ結果を得た. 対象者の特性, および performance status で修正したSF-36において, 入所老人のROLPH, ROLEM, SOCIAL, およびPAINスコアが一般在宅老人と比較し有意に高かった.M HI, VITAL, GHPスコアにおいては二つのグループの間に有意な差を認めなかった. 面接インタビュー法を用いた場合, SF-36は施設高齢者への使用においても有用なものであると考えられる. また, 今回の結果から, 今後の施設入所ケアプログラムに関する示唆を考察した.

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