日本老年医学会雑誌
Print ISSN : 0300-9173
〈若手企画シンポジウム2:サルコペニア―研究の現状と未来への展望―〉
3.サルコペニアにおける骨格筋ミトコンドリア機能とMyokineの意義
杉本 研
著者情報
ジャーナル フリー

2012 年 49 巻 2 号 p. 199-202

詳細
抄録

加齢性筋肉減弱症(サルコペニア)は,高齢者の転倒の原因として,その成因解明や予防法確立が注目されている.また糖尿病・肥満などの代謝異常症では,加齢とともに転倒頻度が増加する.筋肉減弱と代謝異常の関連についてはまだ不明な点が多いが,筋の量的調節・質的調節の両方に関連する骨格筋ミトコンドリアは,サルコペニア成因における候補器官として重要である.
一方,慢性炎症がサルコペニアの成因であることは知られているが,最近,運動直後の骨格筋からIL-6などのサイトカインが産生され,代謝改善や筋量増加に関連することが注目されており,このMyokine(マイオカイン)産生能とサルコペニアとの関連性も興味深い.
我々は現在,骨格筋ミトコンドリア機能とMyokineに注目し,サルコペニアの成因解明を目的とした基礎研究,臨床研究を行っている.本シンポジウムでは,その研究結果の一端を紹介し,今後の方向性を考えたい.

著者関連情報
© 2012 一般社団法人 日本老年医学会
前の記事 次の記事
feedback
Top