目的:良いケアが周辺症状を改善するならば,これを鋭敏に感知できる周辺症状の評価尺度が必要であるという問題意識に則って,Dementia Behavior Disturbance scale(DBD)の短縮版の作成を行った.方法:221名の認知症患者(平均年齢78.3歳)を対象に,初診時と平均1年後にDBD(28項目)を調査し,変化量が比較的大きな下位22項目を選定した.そのうち出現頻度の低い4項目を除いた16項目について,因子分析(主因子法,バリマックス回転)を経て,最終的に13項目の短縮版を作成した(DBD13).結果:DBD13の内的整合性はクロンバッハαが0.96と良好であった.妥当性の検証ではDBD28との相関でr=0.96,p<0.0001と高く,MMSEと有意な負の相関を認めた(r=-0.27,p<0.0001).また,基本的ADL(r=-0.307,p<0.0001)や手段的ADL(r=-0.375,p<0.0001)と有意な負の相関を,介護負担尺度Zarit Burden Interviewと正の相関が認められた(r=0.61,p<0.0001).結論:DBD13は感受性の高い周辺症状評価尺度となることが期待される.