日本老年医学会雑誌
Print ISSN : 0300-9173
原著
二次予防事業対象者に対する運動器機能向上プログラムの参加者特性と介入効果の検証
加藤 智香子藤田 玲美猪田 邦雄
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2013 年 50 巻 6 号 p. 804-811

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抄録

目的:二次予防事業対象者に対する運動器機能向上プログラムの介入効果の検証を行った.方法:2008年4月から2011年3月までの3年間にK市「いきいき健康教室」運動器機能向上プログラムに参加した二次予防事業対象者301名(男性108名,女性193名)を分析対象とした.プログラム内容は講義,運動,評価等であり,週1回2時間を3カ月間(12回)実施した.結果:参加者の平均年齢は男性75.4±5.8歳,女性74.6±5.6歳であった.既往歴では下肢の骨関節疾患(41.9%),高血圧(35.2%),腰痛および脊椎疾患(32.2%)を有する者が多く,過去1年間の転倒歴は49.0%であった.事前・事後の変化では基本チェックリストの運動器の機能,合計点(男性:9.1→7.2,p<0.001,女性:8.6→7.0,p<0.001)および握力,開眼片足立ち(男性:19.7→29.2,p<0.001,女性:25.1→29.8,p<0.001),Timed Up & Go Test(TUG),5 m通常歩行時間,5 m最大歩行時間に男女とも有意な向上がみられた.また,「転倒不安あり」が77.5%から70.1%に,主観的健康感でも「良い/まあ良い/ふつう」が73.6%から89.1%と有意な改善がみられた.2013年3月末時点(観察期間は1,333.1±281.4日)の新規要介護発生率は21.6%であり,主観的健康感の悪化が新規要介護発生のリスク要因であることが明らかになった(オッズ比4.99(1.04~23.90),p=0.04).結論:運動器の機能向上プログラムの介入は心身機能向上に寄与できたと考えられた.そして,健康感の向上を普段の生活での役割や社会活動参加などに結び付けていけるかどうかが長期的な介護予防には重要であると推察された.

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© 2013 一般社団法人 日本老年医学会
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