魚病研究
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Rhabdovirus olivaceus (HRV)人工感染に及ぼす水温の影響
大迫 典久吉水 守木村 喬久
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1988 年 23 巻 2 号 p. 125-132

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抄録

 HRV感染発症に及ぼす水温の影響をHRV人工感染ヒラメの累積斃死率および病理組織像より観察し,以下の如き結論を得た。累積斃死率は,5,10,15,20℃試験群でそれぞれ40,60,20,0%を示し,発症個体には,体色黒化,緩慢な動作,異常遊泳,筋肉中の出血および充血,生殖腺の発赤,腹水貯留が観察された。魚体内ウイルス量は5℃試験群で最も高い値を示し,次いで10℃試験群の死亡魚であった。病理組織学的には,5℃試験群の瀕死魚,生残魚全てに腎臓の造血組織の充出血や壊死が観察され,10℃試験群の瀕死魚の充出血や壊死の程度は5℃群に比べ軽度であった。20℃試験群に黒色大食細胞の増加が観察された。一方脾臓では5℃試験群で出血や壊死巣が観察されたが,10℃試験群での変化は軽度であった。マクロファージの浸潤像が15℃試験群で,黒色大食細胞と考えられる細胞の増加が15℃,20℃試験群で観察された。HRVに対する血中中和抗体価は,一般に低かったものの飼育水温の高い方がより高い値を示す傾向が観察され,5℃試験群の発症魚血中に幼若赤血球が非常に高い割合で出現し,10,15,20℃試験群ではリンパ球様細胞の顕著な増量が認められた。

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© 日本魚病学会
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