日本小児腎臓病学会雑誌
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原著
難治性ネフローゼ症候群における免疫抑制薬投与時有熱性感染症─再発と入院の危険因子の検討─
櫻谷 浩志掛川 大輔櫻井 俊輔平野 大志藤永 周一郎
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2018 年 31 巻 1 号 p. 25-29

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抄録

免疫抑制薬内服中の難治性ネフローゼ症候群 (nephrotic syndrome: NS) 患児が有熱性感染症に罹患した際,重症化やNS 再発に至ることがある。そこで,免疫抑制薬使用中に37.5 度以上の発熱で当院受診したNS 患児83 名 (計203 回) における再発および入院の危険因子について後方視的に検討した。NS 再発に至ったのは7.4% (15 回) で,再発群は非再発群と比較しmizoribine (MZR) 使用率とinfluenza (Flu) 罹患率が有意に高くmycophenolate mofetil (MMF) 使用率が有意に低かった。また入院例は7.4% (15 回) で,うち集中管理を要した重症2 例はFlu 感染 (ワクチン未接種) だった。入院群は非入院群と比較しMMF 使用率が有意に高く,年齢・cyclosporine A (CsA) 使用率が有意に低かったが,多変量解析では低年齢のみが独立危険因子だった。再発予防の観点からは高用量MZR よりMMF が優れている可能性がある。一方,入院の観点からは低年齢でのMMF 導入は入院のリスクを高める可能性がありCsA を優先すべきと考えられた。Flu は重症化や再発の危険因子となりうるため積極的な予防接種が必要である。

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© 2018 一般社団法人 日本小児腎臓病学会
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