Thermal Medicine
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大腸癌肝転移の熱凝固療法
別府 透堀野 敬小森 宏之杉山 眞一増田 稔郎林 洋光岡部 弘尚太田尾 龍崔 林承林 尚子渡邊 雅之馬場 秀夫
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2008 年 24 巻 3 号 p. 83-89

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抄録

肝切除と全身化学療法の組み合わせは大腸癌肝転移治療の標準的な治療法である. 最近, マイクロ波やラジオ波による熱凝固療法が切除不能, 一部切除可能な大腸癌肝転移に施行されている. 大腸癌肝転移に対する熱凝固療法の英語文献のreviewと私たちの施設の成績を報告した. ラジオ波凝固療法 (RFA) は世界中で, マイクロ波凝固療法はおもにアジアで施行されている. 経皮的および腹腔鏡/開腹によるRFAの治療部位再発率は, 3 cm以下で16%と4%, 3-5 cmで26%と22%, 5 cm以上で60%と50%であった. 肝腫瘍に対する大規模なstudyではRFAの死亡率は0.3%, 術後合併症率は7.2%と低率であった. 大腸癌肝転移のRFA後の播種再発は1.4%であった. 切除不能大腸癌肝転移の5年累積生存率はMCTで29%-36%, RFAで14%-35%と良好であったが, 切除可能例の長期予後は明らかでない. われわれの経験では, 効果的な化学療法後に肝切除と同時にRFAが施行された肝転移巣 30結節で治療部位再発を全く認めなかった (平均腫瘍径1.7cm, 平均観察期間 26ヵ月). 結論として, 1) 大腸癌肝転移の熱凝固療法は血管に近接しない切除不能例を対象として, 経皮的では3 cm以下, 手術的アプローチでは5 cm以下に限定して行うべきである. 2) 効果的な化学療法後のRFAの局所コントロール能は極めて高い. 3) 切除可能大腸癌肝転移に対する熱凝固療法の是非は比較試験がないため, 未だcontroversialである.

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© 2008 日本ハイパーサーミア学会
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