1992 年 45 巻 3 号 p. 336-340
大腸癌他臓器転移に対し,Leucovorinと5-FUによるbiochemical modulation療法を施行した.対象は肝転移6例,肝・肺転移1例で,Leucovorin 20mg/m2の投与の直後に5-FU 425mg/m2を投与,これを5日間連続し1コースとし,1カ月ごとに反復した.肝転移5例に対しては選択的肝動注にて投与した.結果はCR1例,PR2例,NC2例,PD2例でPR以上の奏効率は43%であった.副作用は1例に白血球減少を認め,入院を要した他はいずれも軽微で外来で投薬を続けることが可能であった.大腸癌の他臓器転移に対して本療法は,きわめて有効なものと考えられた.