日本大腸肛門病学会雑誌
Online ISSN : 1882-9619
Print ISSN : 0047-1801
ISSN-L : 0047-1801
症例報告
腎不全透析内痔核患者に対する痔核硬化剤ALTA(ジオン®注)治療の1例と臨床的意義
小杉 光世中島 久幸田畑 敏
著者情報
ジャーナル フリー

2008 年 61 巻 2 号 p. 71-75

詳細
抄録

腎不全透析内痔核患者に対する痔核硬化剤ALTA(ジオン®注)治療の1例と臨床的意義を報告した.内痔核3度脱肛に肛門出血を繰り返す透析患者では抗凝固剤など休薬は行えず,後出血など危険性が高く透析患者の観血手術は回避されている.ALTAは痔核に対し安全,低侵襲であるが,本剤は透析患者には安全性未確認のため禁忌となっている.ALTAに関する安全性と危険性について十分な説明合意と院内倫理委員会の許可のもと,アルミニウム血清中濃度を測定し3カ所の内痔核に分割投与した.臨床的に問題なく経過,止血し脱肛治癒と血清中アルミニウムの安全域濃度が確認された.文献および使用薬剤量から推測すれば,ALTA投与による慢性副作用発現の可能性は低い.さらに倫理的承認と臨床検証の多施設研究を行えば,透析患者の治療に禁忌となっているALTAは慎重投与可能な治療薬剤になると考えられた.

著者関連情報
© 2008 日本大腸肛門病学会

この記事はクリエイティブ・コモンズ [表示 - 非営利 - 改変禁止 4.0 国際]ライセンスの下に提供されています。
https://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/4.0/deed.ja
前の記事 次の記事
feedback
Top