日本臨床外科学会雑誌
Online ISSN : 1882-5133
Print ISSN : 1345-2843
ISSN-L : 1345-2843
開腹方法の違いによる胃癌術後イレウスの発生頻度に関する検討
清水 克彦吉田 和弘平井 敏弘峠 哲哉
著者情報
ジャーナル フリー

2003 年 64 巻 4 号 p. 801-804

詳細
抄録

〈目的〉胃癌手術において上腹部横切開法が上腹部正中切開法に比べ術後イレウスの発生頻度を低下させうるかどうかretrospectiveに検討した. 〈対象〉 1994年より2001年までの胃癌切除症例576例を対象とした.開腹方法は1998年までは正中切開,それ以降は横切開が選択され469例, 107例であった.両群間の背景として術式に差は認めなかったが,進行度はやや正中切開群に高い傾向があった. 〈結果〉術後イレウスは27例(4.7%)で8例に手術が施行された.発生頻度は横切開6.5%,正中切開4.3%と差がなく,術式では胃全摘6.9%,幽門側胃切除3.3%と有意差はないものの胃全摘が高率であった.横切開では手術時間の延長を,また早期癌に限ると手術時間の延長,出血量の増加を認めた. 〈結語〉上腹部横切開法では,術後イレウスの発生頻度は減少せず,開腹方法が術後イレウス発生の防止に与える影響は少ないものと考えられた.

著者関連情報
© 日本臨床外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top