日本臨床外科学会雑誌
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胃原発小細胞癌の1例
山本 純也池田 靖洋
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2004 年 65 巻 10 号 p. 2652-2658

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抄録

術前検査で低分化型腺癌と診断され手術された胃原発小細胞癌の1例を経験したので臨床病理学的に検討した.症例は34歳,女性.胃透視,上部消化管内視鏡検査, CT,超音波検査で2型胃腫瘍を指摘された.生検により低分化型腺癌と診断され幽門側胃切除術が施行された.手術摘出標本では,腫瘍は潰瘍を伴った隆起性病変で,粘膜下層中心に増殖していた.病理組織検査では,腫瘍は漿膜下層まで浸潤していたが,潰瘍の周囲では正常粘膜上皮によって覆われていた.病理組織診断は小細胞癌であった.免疫組織化学的検査では,サイトケラチンCAM5.2, NCAM (CD56),クロモグラニンA, TTF-1でび慢性に強陽性, NSE, N-カドヘリン, E-カドヘリンで部分的に陽性を示した.またGrimelius染色で銀親和性顆粒を認めた.胃原発小細胞癌は,臨床病理学的に肺や他の部位原発の小細胞癌と同様の特徴が確認された.本症例では化学療法の効果は確認できなかったが,胃原発小細胞癌は早期より遠隔転移を起こしやすく予後が悪いことを考慮すると,肺や他の部位原発の小細胞癌同様に治療の第一選択は化学療法が良いと考えられた.

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