日本臨床外科学会雑誌
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嚢胞形成を伴う肝海綿状血管腫の1切除例
森本 修邦門田 雅生篠崎 幸司川崎 靖仁大鶴 実安田 青兒
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キーワード: 海綿状血管腫, 肝嚢胞
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2005 年 66 巻 7 号 p. 1703-1708

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抄録

症例は61歳,女性. 1988年より近医にて肝嚢胞を経過観察されていたが, 2003年12月当院人間ドックの腹部超音波検査にて嚢胞内部に充実性部分を認めたため1月6日内科受診.腹部CT, MRI検査にて肝S6に長径9cmの嚢胞性病変と内部に2cm大の隆起性部分を認めたため,肝嚢胞腺腫あるいは腺癌の診断にて当科紹介受診となる.手術所見では腫瘍は肝S6表面に認め,肝外性に突出していたが,周囲への癒着は認めず,肝右葉切除術を施行した.腫瘍割面では嚢胞内部は茶褐色の浸出液と黄白色のスポンジ様の物質で充満し,嚢胞内面に長径2cmの隆起性部分を認めた.病理診断では充実性部分は海綿状血管腫でスポンジ様の物質はコレステリンの析出物であった.嚢胞として長期間経過観察されていることから嚢胞壁に存在した血管腫が嚢胞内に穿破し,血液中のコレステリンが析出したものと推測された.

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