日本臨床外科学会雑誌
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症例
FDG-PETが診断に有用であった胃癌の中縦隔リンパ節転移の1例
城間 寛伊佐 勉照屋 剛我喜屋 亮仲地 厚比嘉 淳子
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2007 年 68 巻 9 号 p. 2223-2228

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抄録

症例は40歳代, 男性, 心窩部の違和感を主訴に受診し, 内視鏡検査にて, 食道にわずかに浸潤した噴門部癌を認めた. 平成13年8月左開胸, 開腹による胃全摘術+下部食道部分切除術を行った. 術後の病理検査では, poorly differentiated adenocarcinoma, Stage IIIAであった. 術後経過は良好で術後41日目に退院となった. その後, 平成14年6月FDG-PET検査を行ったところ, 中縦隔にFDGの集積が見られ. CTでも転移を疑わせる腫大したリンパ節が認められたため, 同年7月左開胸にて腫瘤切除を行った. 病理検査の結果では, poorly differentiated adenocarcinomaで, リンパ節への転移であった. 転移巣切除後4年経過したが, その後は再発徴候もなく経過観察良好である. 本症例は胃癌の中縦隔転移と診断される稀な症例であった. 現在胃癌はFDG-PET検査の保健適応になってないが, 本症例のように術後経過観察の検査として極めて有用な場合もある.

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© 2007 日本臨床外科学会
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