2007 年 68 巻 9 号 p. 2293-2298
症例は67歳, 女性. 近医の腹部エコー検査で, 肝右葉に腫瘤を指摘され, 当科に紹介入院となった. 腹部CT検査では内部に石灰化を伴う腫瘤であった. この腫瘤の診断および治療目的に手術を施行した. 術中良性腫瘤と診断し腫瘤摘出術を施行した. 病理組織学的には硝子様変化や変性した血管の残存を認め, 肝硬化性血管腫と診断した. 肝硬化性血管腫は比較的稀な疾患であるが, 石灰化を伴う肝腫瘤を認めた場合, 本疾患も念頭におく必要があると考えられた.