日本臨床外科学会雑誌
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症例
Nuss法を用いたflail chestの治療経験
藤森 賢増田 良太西海 昇岩崎 正之猪口 貞樹井上 宏司
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キーワード: flail chest, Nuss法, 内固定法
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2009 年 70 巻 6 号 p. 1665-1669

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抄録

flail chestは治療に難渋することが多く,治療期間の短縮が患者の生命予後を左右する.一般的な治療法は内固定法と外固定法であるが,flail chestは多発外傷に伴うことが多く,われわれは侵襲の少ない内固定法を第1選択としてきた.しかし,長期人工呼吸器管理に伴う肺炎,それに伴う気管切開,長期鎮静剤投与による薬剤性肝障害等を多く認めた.これらの不都合を回避する為,1999年以降,内固定にNuss法を併用する治療法を選択することで,人工呼吸器使用期間を短縮し,患者の早期社会復帰が可能となった.症例は男性3名,女性2名,平均年齢41歳.受傷機転は転落外傷2例,交通外傷2例,胸骨圧迫心マッサージ後1例であった.内固定にNuss法を併用した平均内固定期間は5.6日,平均人工呼吸器使用期間は10.2日であった.Nuss法併用に伴う合併症は認めなかった.

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© 2009 日本臨床外科学会
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