日本臨床外科学会雑誌
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症例
胃切除および補助化学療法により術後5年以上無再発生存している胃小細胞癌の1例
藤田 博崇篠原 永光大畑 誠二田渕 寛梶川 愛一郎
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2009 年 70 巻 12 号 p. 3565-3570

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抄録

今回われわれは胃原発小細胞癌術後5年以上無再発生存している1例を経験したので報告する.
症例は80歳の女性.当院内科通院中に,貧血の増悪を認めたため,上部内視鏡検査にて胃前庭部小彎側に3型の腫瘍を認めた.同部位の生検では低分化腺癌(por1)の診断で,手術目的にて入院となった.胃癌の診断にて幽門側胃切除術,D2リンパ節郭清を施行した.病理組織学的検査所見では,small cell carcinoma,medullary type,病変部では,N/C比の高い癌細胞が胞巣性や索状,リボン状に浸潤増殖しており,一部では血管周囲性ロゼット構造が認められた.Grimelius染色で好銀顆粒がみられ,免疫組織染色学的には,chromogranin A,synaptohysinが陽性を示した.
術後CPT-11(40mg)の2年長期投与後,術後5年1カ月現在無再発生存中である.胃小細胞癌に対する治療として,積極的な胃切除とリンパ節郭清および長期補助化学療法の有用性が示唆された.

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© 2009 日本臨床外科学会
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