日本臨床外科学会雑誌
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症例
悪性腫瘍との鑑別が困難であった肝硬化性血管腫の1例
三上 城太富永 正寛千堂 宏義前田 裕巳藤野 泰宏狛 雄一朗大林 千穂
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2011 年 72 巻 4 号 p. 965-971

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抄録

症例は74歳,女性.高血圧にて近医に通院中,腹部エコーにて肝腫瘍を指摘され当院に紹介となった.腹部エコーにて肝S2に17mm大の境界明瞭で内部均質な低エコー腫瘤を認めた.造影CTでは,動脈相で辺縁部がリング状に濃染され,平衡相で内部が不均一に造影された.EOB-MRIではT1強調像にて低信号,脂肪抑制T2強調像で高信号を呈していた.また造影動脈相では辺縁に輪状の,内部には点状の信号増強を示していた.FDG-PETでは明らかな異常集積を認めなかった.悪性腫瘍を否定できず肝外側区域切除を施行した.術中所見では,肝S2に辺縁不整,比較的軟らかい灰白色の腫瘍を認めた.病理組織学的検査では硬化性の小血管周囲に,硝子化を伴う膠原組織や弾性線維が著明に増生しており,硬化性血管腫と診断された.肝癌類似病変に関して,今回われわれの治療経験に考察を加え報告する.

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© 2011 日本臨床外科学会
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