日本東洋医学雑誌
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原著
患者自身による自覚症状の評価システムを用いた冷え症に対する当帰四逆加呉茱萸生姜湯の有効性について
木村 容子田中 彰佐藤 弘
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2012 年 63 巻 5 号 p. 299-304

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抄録

目的:当帰四逆加呉茱萸生姜湯が有効な冷え症のタイプを検討した。
研究デザイン:後ろ向きコホート研究。
対象:冷え症患者181名を対象とし,初診時に自覚症状をデータベースに登録した。さらに,外的妥当性を新規28名で評価した。
介入:エキス顆粒7.5g/日服用1ヵ月後に評価。
評価項目:治療効果の有無。
結果:冷えは74%の患者で改善し,頻度および程度(0-4)は各々3.2±0.7から2.1±0.1(p <0.01),3.1±0.7から2.2±0.9(p <0.01)に減少した。治療効果予測の最適モデルとして,胃もたれおよび抑うつを伴わない腸骨窩圧痛の有無が選ばれ,判別予測率は84.4%であった。このモデルを別の28名の患者で検証したところ,予測精度は82.1%であった。
結論:胃もたれや抑うつ感がみられず,腹診にて腸骨窩圧痛が認められる冷えの患者で,当帰四逆加呉茱萸生姜湯が有効である可能性が示唆された。

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© 2012 一般社団法人 日本東洋医学会
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