日本透析医学会雑誌
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症例報告
酢酸不耐症によると思われる透析後の発熱を認めた2型糖尿病腎不全の1例
髙木 通乃馬場園 哲也江口 圭竹村 俊輔豊永 愛子吉田 宣子吉田 直史東谷 紀和子入村 泉花井 豪田中 伸枝八木 信内潟 安子
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2014 年 47 巻 11 号 p. 697-701

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抄録

血液透析液に少量含まれる酢酸が多彩な症状をひき起こすことは, 古くから知られている. この酢酸不耐症により, 血液透析後繰り返し発熱をきたしたと考えられた2型糖尿病腎不全の1例を経験したので報告する. 症例は62歳男性. 54歳時に2型糖尿病, 59歳時に慢性腎不全と診断され, 62歳, 尿毒症症状が出現し血液透析導入目的に当科に入院した. 透析導入時より毎回の透析後に全身倦怠感や37~39℃の発熱を認めた. 発熱の原因として, 感染症や悪性腫瘍, 膠原病を示唆する臨床所見は認めなかった. 透析液エンドトキシン濃度は基準範囲内であり, ダイアライザー膜および抗凝固剤を順次変更したが, 改善しなかった. 第40病日, 透析液を酢酸含有液から無酢酸液に変更したところ, 透析後の発熱が改善したため, 発熱の原因として酢酸不耐症が考えられた. 血液透析患者に発熱のみを認める場合においても, 酢酸不耐症を鑑別の一つとして考慮する必要がある.

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© 2014 一般社団法人 日本透析医学会
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