血液透析患者のアレルギーは日常的に経験し, 原因として透析膜や抗凝固薬の報告例が散見される. 酢酸含有重炭酸透析液によるアレルギーが疑われた症例を経験した. 症例は77歳男性. 血液透析導入後から発熱, 全身紅斑, 下痢, 末梢血の好酸球増多 (7,730/μL) が出現. 透析機器関連アレルギーを疑い, 透析膜変更や, 酢酸含有重炭酸透析液から無酢酸透析液への変更を行うも改善せず, 副腎皮質ステロイドを開始したところ, 症状は改善し, 好酸球数も基準値内となった. 酢酸含有重炭酸透析液の薬剤誘発リンパ球刺激試験 (DLST) が陽性であったことや, 同透析液の再使用で症状が再燃したことから, 同透析液のアレルギーと考えられた. 同透析液のアレルギー報告は少ないが重篤化することがある. 血液透析患者のアレルギーでは透析液も原因として考慮すべきである.