日本外科系連合学会誌
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症例報告
インターフェロン療法著効後15年目に発生したC型肝炎ウイルス抗体陽性肝細胞癌の1例
樋口 亮太安田 秀喜幸田 圭史鈴木 正人山崎 将人手塚 徹小杉 千弘平野 敦史植村 修一郎土屋 博紀
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2011 年 36 巻 1 号 p. 66-71

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抄録

 症例は70歳の男性で,15年前にC型慢性肝炎に対するインターフェロン(以下,IFN)療法を施行された.ウイルス学的著効(sustained viological response,SVR)が得られ,以後肝機能も正常化していた.2年ぶりの健康診断時に施行された腹部超音波検査にて病変指摘され当院紹介となった.精査では肝S8/4,右肝静脈と中肝静脈を圧排するように直径約9cm大の腫瘍を認めた.経皮経肝的門脈塞栓術後に拡大右葉切除術を行った.病理所見では中分化型肝細胞癌,非癌肝は慢性肝炎であった.術後は腹水コントロールを要したが経過は比較的良好で第15病日に退院した.C型慢性肝炎に対するIFN療法SVR後10年以上経過して発生した報告は検索しえた限りでは8例のみで,最長14年であった.C型慢性肝炎に対するIFN療法SVR後15年目に発生した症例は貴重であり報告する.

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© 2011 日本外科系連合学会
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