日本外科系連合学会誌
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大量出血をきたしたDieulafoy潰瘍様形態のIIc型早期胃癌の1例
若原 正幸安江 幸洋安江 紀裕安江 充里久野 壽也
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キーワード: Dieulafoy潰瘍, IIc病変, 吐血
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2000 年 25 巻 4 号 p. 647-651

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抄録

症例は56歳の男性。吐下血を主訴として来院し, 内視鏡検査にて胃体中部小彎側後壁よりの出血性潰瘍と診断した。トロンビン末塗布による止血術を行い, 再度の内視鏡検査で生検したところ高分化型管状腺癌と診断され, 胃亜全摘術を施行した。組織学的検索で深達度sm, ly0, v0, INFβ, n0, stage laで, IIc陥凹直下に太い動脈が蛇行し閉塞性動脈炎をきたしている所見が認められたため, Dieulafoy型血管奇形を伴ったIIc型早期胃癌と診断した。Dieulafoy潰瘍類似の早期胃癌症例は, 検索しえた範囲内では本邦で11例目と少なく, まれな疾患であった。内視鏡的止血術後は, 止血の確認のみならず, 癌の併存にも注意を払い, 詳細な観察が必要と考えられた。

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