医療と社会
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日本人の健康状態:
日本語版EuroQol調査結果
池田 俊也池上 直己
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1999 年 9 巻 3 号 p. 83-92

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抄録

EuroQol (EQ-5D) は健康状態の包括的尺度であり,公式の日本語版は1998年5月に作成された。筆者らは,日本における一般集団から健康状態の価値付けに関するデータを得ることを目的として,面接調査を計画した。本論文では、自己の健康に対する評価に関する結果概要を述べた。
合計で621名に対する面接調査が実施された。本結果においては,5項目全てについて,「問題ない」との回答が多かった。少なくとも1つの項目について「中程度の問題」と回答したのは4分の1の対象者であったが,1つでも「重度の問題」と回答したのは,2.1%にすぎなかった。高齢者,重病の経験者,教育水準が低い者、退職者や家事に従事している者は,問題を訴える率が高かった。今回の調査結果は英国や京都におけるこれまでの調査結果と基本的に同様の傾向であった。
わが国の一般集団における性・年齢階級ごとの基準値が本調査から得られたことにより,今後,患者群の健康状態を基準値と比較し,それにより医療サービスの適切性を評価することを目的として,日本語版EuroQolが幅広く用いられることとなるだろう。

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