2009 年 38 巻 p. 279-285
日本眼科医会のロービジョン施設マップ1)では、奈良県は近畿圏内で唯一の空白地帯となっている。ロービジョンケアの勉強会を有志で始めるためには、他施設との連携が不可欠であると考え勉強会への参加を広く呼び掛けたところ、多くの施設の参加を得られた。まず最初に医療・教育・福祉等関係者のネットワークを構築するにあたり、奈良県下のロービジョンケアの現状調査を行った。施設マップでは空白となっていたが、既にロービジョン外来を行っている医療機関も2施設(内訳は病院1・医院1)あり、またロービジョンケアに興味関心のある視能訓練士や医師や看護師は全体の71%を占めた。
また医療・教育・福祉等関係者との連携が必要とする意見は93%にものぼり大変強い関心を示した。
今回の調査でロービジョンケアを開始するにあたり、学習するきっかけや初期の取り組みがわからず、また外来業務の忙しさも相まって手つかずになりやすい傾向が浮き彫りになった。
基礎からにロービジョンを勉強していく過程において、視能訓練士だけでなく医師・看護師等、来るだけ多くの医療関係者に参加してもらい、お互い顔の見えるロービジョンネットワーク構築していくことが重要である。