日本心臓血管外科学会雑誌
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症例報告
瘤内を経由し右室への心室中隔穿孔を合併した心基部下壁偽性仮性心室瘤の1例
田崎 大大島 永久白井 俊純牧田 哲
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2009 年 38 巻 3 号 p. 208-211

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抄録

症例は68歳,女性.2002年に急性(下壁)心筋梗塞のために右冠動脈に対してPCI施行され,以後当院外来通院中であった.2007年3月,労作時呼吸苦が出現し,うっ血性心不全の診断で緊急入院した.冠動脈造影検査で重症3枝病変,左室造影では心基部下壁に存在する左室瘤と同瘤を経由し右室への交通を認める心室中隔穿孔を認めた.手術は,心室瘤壁のみを切開し内腔へアプローチした.瘤内から4-0ポリプロピレン糸を用いて穿孔部の単純縫合閉鎖,やや大きめの馬心嚢膜パッチを用いて瘤入口部と正常心筋との境界部を縫合することで瘤入口部閉鎖を行った.また冠動脈バイパス術3枝(左内胸動脈-左前下降枝,大伏在静脈-対角枝-後側壁枝)を併施した.術後第12病日に左室造影とグラフト造影を行い,遺残シャントを認めず瘤も消失しており,グラフトも全て開存していることを確認し,第13病日に軽快退院となった.

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