日本看護科学会誌
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女性に対する暴力スクリーニング尺度の開発
片岡 弥恵子
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2005 年 25 巻 3 号 p. 51-60

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抄録

本研究は, 日本の周産期で使用できるDVのスクリーニングツール「女性に対する暴力スクリーニング尺度 (Violence Against Women Screen: VAWS)」を開発し, 信頼性および妥当性, 正確度を検討することを目的とした. VAWS (案) は, 9項目から構成される3段階リカート尺度で, 得点が高いほどDVのリスクが高まる得点構成とした. 加えて, 至適基準として日本語版配偶者虐待尺度, 併存妥当性の検討に用いる日本語版GHQ30および自尊感情尺度を用いて, 妊婦328名に調査を実施した.
VAWSは, 項目の分析により7項目で最適解となった. VAWSは, 因子分析および主成分分析の結果, 一元性の因子構造であった. 日本語版GHQ30 (r=.30) と自尊感情尺度 (r=-.26) との有意な相関により併存妥当性が認められた. 信頼性係数Cronbach's α は.70であった. カットオフポイントを9点にするとVAWSの感度は86.7%, 特異度は80.2%, 陽性尤度比4.38となった. スクリーニング方法 (自記式とインタビュー) では, 感度は自記式のほうが高く(89%vs.83%), つまり自記式のほうがDV被害を見逃さないことが明らかになった. 以上より, VAWSは妥当性および信頼性を有するDVのスクリーニングツールとして, 特に周産期実践での実用化の可能性が示唆された.

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